スワデンタルCAD/CAMセンターで2022年の11月分の口腔内スキャナーを使用した症例の受注数をカウントしたところ、月産1000症例を越えたことが分かりました。
トータルで1043症例の受注で、症例の中には複数歯の場合が含まれているので、実際の本数はこれよりも少し多くなります。
スワデンタルCAD/CAMセンターでは月産5000症例のCAD/CAM関連補綴物の製作を行っているので、その20%の症例で口腔内スキャナーが使用されたことになります。
現場の感覚ではまだまだ石膏模型の仕事の方が多い感じですが、口腔内スキャナーが着実に使用を増加させています。
その増加の具合はこの数年の同時期のデーターと比べるとさらによくわかります。
これは昨年の同時期の口腔内スキャナーの受注数です。この時期は579症例でしたので、12ヵ月でほぼ倍増したことが分かります。
これはさらに12ヵ月前のデーターです。この時は231症例で、やはり12ヵ月で2倍強増加したことが分かります。僅か2年前というのに今から見ると冗談のようにこじんまりとしています。
ちなみにこの2020年の4月に初めて月産100症例の受注を記録したので、口腔内スキャナーの症例は2ヵ年半で約10倍増となりました。
勝負あったか、スキャナーのシェア競争
使用された口腔内スキャナーのメーカーの内訳を見ると明らかな傾向があります。2022年ではプライムスキャンを擁するデンツプライシロナが648症例と過半数でかつ次点から4倍近くという圧倒的多数です。
口腔内スキャナーが臨床で有効かどうかの目安には、単にスキャナーとしての正確度と精度という性能に加えて、実際の患者の顎のスキャンはしやすいか、撮ったデーターの送信を行うクラウドは使いやすくて信頼できるか、対応するインプラントシステムがあるか、対応するアライナーはあるか、といったことが挙げられます。
プライムスキャンはこれらのどの一点で見ても他と同等かそれ以上です。
またスワデンタルの取引先の歯科診療所からのお話を総合すると、口腔内スキャナーを使う理由としては、歯科診療室をデジタル化するためというよりも、今広く使われている印象材と置き換えて補綴診療の業務をスリムにできるか、という事への関心が向けられています。
プライムスキャンは機械としての総合力に加えて、このスピードを求める日本の歯科診療制度に合致していると想像します。
なぜ増えたか?技工所側の理由
口腔内スキャナーを使って補綴診療の業務をより信頼性を高めて、よりスリムにすることは十分に可能です。しかしそのために重要なのは、そのデーターを歯科技工士が補綴物製作に生かせる体制が歯科技工所にあるかどうかという点です。
何と言っても口腔内スキャナーは歯科技工士に顎の情報を送るための機械なのです。
口腔内スキャナーのデーターでの補綴物製作は、これまでの石膏模型が主役であった時代とは異なった設備が必要です。信頼できるCAD/CAMソフトや加工機はもちろんですが、模型出力のための3Dプリンターが特に重要です。
実は口腔内スキャナーの症例の激増が始まった2020年には、7月に革新的なLCD方式の3Dプリンターと水洗いレジンを導入しており、これが口腔内スキャナーの症例の信頼性を大いに高めているとにらんでいます。
というのは日本の補綴診療ではセット時に出来るだけ調整の少ない補綴物を求める傾向が強く、そのためには完成補綴物を納品前に模型上であらかじめコンタクトやバイトを調整しておく必要があります。
また現在の設備のテクノロジーではソフトや加工機の限界でまだ手の及ばない部分が残されており、そういった部分は仕上げの段階で歯科技工士が手で修正する必要があります。この修正はモデルフリーでは不可能です。
口腔内スキャナーの症例でこれらの最終的な調整や修正を行うためには歯科技工所に使いやすくて、高速で安価で正確な3Dプリンターが必要なのです。
今年の目玉は?2023年横浜デンタルショー
パシフィコ横浜で1月8日と9日に横浜デンタルショーが開催されました。横浜デンタルショーはコロナ禍の影響で3年ぶりの開催です。
展示は感染予防に配慮して一方通行で会場を一筆書きする順路式で、道順に従えばすべてのブースの前を通ります。
見る方としては自由配置式の展示よりも何も考えずに見ていくだけで良いので、楽といえば楽です。
しかし展示側からすると、めぼしい客が通るかどうかはブース前の通路を見張っていれば良いので、営業マンからの注意が自然と歩く側に集まります。
展示の中心はやはりCAD/CAM関連用品で、新型の加工機、3Dプリンター、口腔内スキャナー、ジルコニアディスクが注目を集めています。
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